介護技能実習生おすすめ国ランキング

この記事について

様々な国から入国している介護技能実習生の中で、どの国の実習生が優秀なのか、国の統計などによる客観的なデータから分析及び考察してみました。

量 技能実習生の人数について 

まずは定量的な分析を試みてみましょう。介護技能実習生は労働力の調整としての位置づけを持たない制度です。しかし、実習に来てもらえなければその比較をしても意味がないのもまた事実です。

量的な分析の手始めに、介護技能実習生に関して数値をお調べになる際に、どの様な数値を採用すべきか、前提知識からご紹介します。

実習計画認定とは

最初に実習計画認定について知る必要があります。

様式

画像引用

外国人技能実習機構 技能実習計画の認定申請/計画の変更関係 技能実習計画認定申請書 https://www.otit.go.jp/files/user/0819(1)%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%8F%B7%E6%A7%98%E5%BC%8F%E3%80%80%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%92%E8%A8%88%E7%94%BB%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E7%94%B3%E8%AB%8B%E6%9B%B8.pdf

技能実習生に必須の実習計画とは、何なのでしょうか。

端的に言えば、「入国後実習生がどの様な講習を受け、どのような実習をするのか、日々の予定が細かく定められた実習の計画」です。

実習実施者は、受け入れようとする技能実習生ごとに技能実習計画を作成(団体監理型の場合には、監理団体の指導に基づいて作成)し、機構から認定を受ける必要があります(法第8条及び第12条)。この認定申請は、法第9条の認定基準を満たすことを証明する添付資料等を添えて、機構の地方事務所・支所の認定課に申請しなければなりません

厚生労働省 技能実習制度運用容量 第4章 https://www.mhlw.go.jp/content/001100147.pdf

技能実習法では二章の第一節がまるまる割かれ、計画の内容及び取り扱いについて定義しています。

(技能実習計画の認定)

第八条 技能実習を行わせようとする本邦の個人又は法人(親会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第四号に規定する親会社をいう。)とその子会社(同条第三号に規定する子会社をいう。)の関係その他主務省令で定める密接な関係を有する複数の法人が技能実習を共同で行わせる場合はこれら複数の法人)は、主務省令で定めるところにより、技能実習生ごとに、技能実習の実施に関する計画(以下「技能実習計画」という。)を作成し、これを出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に提出して、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることができる。

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428AC0000000089

この計画を認定する機関がOTIT 外国人技能実習機構です。

実務的にはビザ申請に際してこの計画認定を受ける必要があり、我々送出機関にとっては最も馴染み深く、重要な書類です。

計画認定数とは

毎年OTITが発表している、実習計画が何件認定されたか という統計を指します。

上述の通り、技能実習生一人に付き必ず一度認定を受けなくてはなりませんので、計画認定数は国内に入国する(予定)の実習生の数とほぼ一致することになります。

よって、この計画認定数から概ねどの国の、どの様な職種の方が、どの地域で実習を行うかを知ることができるのです。

令和3年度国別介護技能実習計画認定数国別ランキング

順位国名計画認定数割合
1ベトナム3,17237.83%
2インドネシア1,79221.37%
3ミャンマー1,52818.23%
4中国7178.55%
5フィリピン5166.15%
6モンゴル1832.18%
7タイ1281.53%
8カンボジア1031.23%
その他2452.92%
全体8,384100.00%
OTIT 外国人技能実習機構令和3年度業務統計より当送出機関作成 https://www.otit.go.jp/gyoumutoukei_r3/

こちらは令和3年度(最新)の介護外国人技能実習生確認定数をグラフ及び表にしたものです。
この表を見れば、ベトナムは二位に倍ほどの差をつける38%を占めており、介護実習生の大半をベトナムが排出していることがわかります。

この数値的な傾向は介護職種追加時点から変わっておらず、まず実習生を受け入れられるか?という量的な視点で考えれば、ベトナムが最も優れていると言えます。

質的分析

では、次に質的な分析をはかりましょう。

介護人材としての優秀さは介護知識、介護スキルに加え、職業適性、人格、などで測るのが妥当と考えることができます。さらに外国人技能実習生としては、日本語能力もその範疇にはいるでしょう。最も客観的と言える指標は、何と言っても介護福祉士の資格を取得することであるのは間違いありません。介護福祉士の資格取得には介護知識と介護経験に加えて、相当の日本語能力も必須だからです。

介護技能実習生の国別介護福祉士合格率ランキング

まず、残念ながら2023年11月現時点で技能実習生の国別介護福祉士合格率は公表されていません。

各国の介護技能実習生介護福祉士合格者に関する報道

技能実習生として来日し、盛岡市内の介護施設で働いているベトナム人の女性が、介護福祉士の国家試験に合格しました。
技能実習生として来日した外国人の合格は県内で初めてで、6日、勤務先の施設で表彰式が行われました。

介護福祉士の試験に合格したのは、ベトナム出身のグエン・ティ・チャンさん(24)です。

NHK NEWS WEB 技能実習生のベトナム人女性 介護福祉士の国家試験に合格 https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20230406/6040017308.html

岩手県盛岡市のデイサービスに、類まれなる意欲と頭脳を持つ、ベトナム人介護スタッフがいる。グエン・ティ・チャンさん、24歳だ。2019年に介護系の外国人技能実習生として来日し、今年1月に国家資格である介護福祉士の試験を受験。高得点で一発合格した。

東洋経済 ONLINE 介護福祉士に「一発合格」ベトナム人女性の決意 https://toyokeizai.net/articles/-/688362

上記のNHKニュースの記事のように、各国の技能実習生が介護福祉士試験に合格したというニュースは今年になって多数見られるようになりました。当社の調べではベトナムはもちろん、他にモンゴル、中国などの実習生の合格が報告されていました。しかし、すべての合格者が報道されているわけでもありません。また、重複の可能性もありますから、統計処理するには不正確な情報と言えるでしょう。

外国人EPA介護福祉士候補者国家試験国別合格率ランキング

公表されているランキングの中で最も信頼できる指標は、EPA介護福祉士候補者の国別合格率でしょう。

過去3年にわたって厚生労働省が発表している介護福祉士国家試験において、EPA介護福祉士候補者制度を利用して試験を受験し、合格した受験者について調べました。

同制度は厚生労働省主幹で進められたので、制度別の情報を保有しているのでしょう。

また、同制度を利用可能な国は協定加盟国のベトナム・インドネシア・フィリピンに限られていますので、3カ国のみのルールとなります。

第33回 令和2年度 EPA介護福祉士候補者国家試験国別合格率ランキング

順位国名受験者数合格者数合格率
1ベトナム17816492.13%
2インドネシア40014636.50%
3フィリピン37513034.67%

第34回 令和3年度 EPA介護福祉士候補者国家試験国別合格率ランキング

順位国名受験者数合格者数合格率
1ベトナム18615683.87%
2フィリピン3809625.26%
3インドネシア44811225.00%

第35回 令和4年度 EPA介護福祉士候補者国家試験国別合格率ランキング

順位国名受験者数合格者数合格率
1ベトナム18017396.11%
2インドネシア53834363.75%
3フィリピン43523854.71%

第34回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果

第35回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果

https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000916772.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000916772.pdf

過去3年にわたり調査した結果、上記の通りベトナムがダントツの1位で有ることがわかりました。

参考に、第35回の日本人を含めた全体の合格率は84.3%ですので、なんとベトナム人介護福祉士受験生の方が日本全体平均よりも合格率が大幅に高いという驚くべき結果でした。

合格率についての分析

ベトナムが見せた驚きの合格率について理由の分析を試みました。

引用元;https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001075868.pdf

元々3年または4年の看護過程を終了していることこと、日本語能力検定の基準が他国に比して厳しいことや、12ヶ月の日本語研修を経て入国していることなど、制度の違いからくる人材の差異があるのではないかという声は聞かれています。

送出機関の職員の意見

また、実際にEPA介護福祉士候補で、介護福祉士資格を取得した当送出機関の教師の意見では、

「ベトナムは儒教国であるため、高齢者の世話をすることで徳を積む という価値観がある。そのため介護士を志望する者は特に人格的に優れた人材が多いのかもしれない。」

「ベトナムではこれまで高齢者の世話をすることが当たり前であった。そのため介護に慣れたものが多い。」

という意見が聞かれました。

また、ベトナムで多角的な経営を行っており、世情に詳しい当送出機関の経営者は、

「ベトナムは急速な高齢化を迎えており、10年後には高齢化社会に到達する。また、経済発展により家族構成が変化し、共働きの過程が増えていることから介護の需要は急速に高まっている。元々介護自体の社会的地位が高いベトナムでは、地位と経済性が両立する介護事業で起業しようとする機運が高まっている。日本で働こうとする様々なベトナム人の中でも、介護に従事するものは単に日本での労働を希望しているわけではなく、日本で最高レベルの介護技術と経営ノウハウを習得し、将来にベトナムで介護事業で起業しようとする優秀かつ視野の広い人材が集まっているのではないか。」

と意見を述べていました。

まとめ

上記の通り、量的質的双方の側面から統計に基づく分析を行った結果、「ベトナムからくる外国人介護従事者や、技能実習生が質及び量の双方において最も期待できる」という客観的評価を得ることができました。

また、その背景には制度の違いの他に、ベトナムという国の文化や、社会経済的な事情からくる人材の質の差と、将来に向けた展望があるのではないか、という予測が成り立ちました。

メッセージ

当送出機関は10年後の未来に向けて、ベトナムと日本双方で連携し、長期的な目線で介護人材交流と介護事業の運営を行うことを目指しています。この様な事業モデルと協業可能性にご興味がお有りの経営者の皆様は、ぜひお問い合わせいただけますと幸いです。

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