深刻化する介護人材難 – 賃上げと魅力ある職場への転換を

この記事では、介護分野の喫緊の課題である深刻な人材不足と処遇改善の現状や政府の取り組み方針をお伝えしています。

【人材流出に歯止めを 政府が継続的な賃上げへ】

日本政府は、介護職員の賃金改善に向けて重要な一歩を踏み出しています。来年2月から、介護職員の月給が6000円引き上げられる予定であり、2024年6月以降もこの賃上げの継続が検討されています。さらに、2024年度の介護報酬の引き上げも予定されており、介護職員の賃金水準向上に向けた具体的な施策が進行中です。これらの改革は、日本における介護職員の平均給与が全産業平均に比べて低い現状を打破し、介護業界の人材不足という長年の課題に対処するためのものです。

この政策は、ベトナムを含む海外からの介護人材にも大きな影響を与える可能性があります。日本での介護職員の給与水準が改善されれば、ベトナムからの介護人材にとってより魅力的な就労先となりうるからです。また、介護報酬の改定や処遇改善加算の取得率の向上は、介護サービスの質の向上にも繋がるでしょう。これにより、介護業界における労働環境が改善され、ベトナム人介護士にとってより良い就労体験が期待できるようになります。

しかし、介護業界には依然として課題が残っています。事務作業の煩雑さや制度の複雑さが、改善加算の取得を困難にしています。さらに、2025年には認知症高齢者の数が増加すると予測されており、人材不足はさらに深刻化することが予想されます。このため、日本政府は介護人材の確保と定着を目的として、賃金改善以外にも様々な施策を実施する必要があります。

最近の調査では、介護分野の人材流出が深刻な状況にあることが示されています。このような背景を鑑みると、賃金の改善は介護業界の持続可能性を保つために不可欠です。ベトナムからの介護人材にとって、これらの動きは日本での就労機会が拡大し、より良い労働環境が提供されることを意味しています。これは、ベトナムの介護士たちにとって希望の光と言えるでしょう。

【中堅・ベテラン介護福祉士の評価向上が鍵】

最近の調査で、10年以上勤続しているベテラン介護福祉士の平均勤続年数が、他産業のベテラン層と比較して低い実態が明らかになった。こうした中堅・ベテラン層こそが介護現場を支える重要な戦力であり、活躍促進と離職防止が喫緊の課題である。一方で、認知症介護実践研修等の一定の研修を受講した10年未満者の評価が、10年以上の未受講者よりも高い結果がでている。研修を通じて身につけた知識と技術が現場での評価に直結していることを示唆している。

したがって、中堅・ベテラン層に対する研修受講の後押しが重要である。勤続年数の長短ではなく、習得した能力と技術に応じた評価を進めるとともに、意欲と活力の維持につながる支援を行うことで、より働き甲斐のある職場環境を実現できる。これにより中途退職を防ぎ、貴重な人材の維持と活用を図ることが求められている。

介護 ベトナム 処遇改善 雇用

【介護支援専門員も深刻な人材不足】

介護支援専門員についても深刻な人材不足に直面している。現在約30万人いる介護支援専門員のうち、今後5年以内に6万人規模の離職が予想されている。平均給与が約35万円と推計されている現状を踏まえ、報酬改定による収入増を通じた1万円程度の賃金改善が求められる。併せて専門研修の受講を加算の要件化する等を通じて、専門性向上と確かな評価体制の構築を実現する必要がある。さらにSNS等を活用した職種の魅力発信や、高校への出張講義等の就労支援も有効な方策である。

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※参考記事①:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA291ZG0Z21C23A1000000/

※参考記事②:厚生労働省発表 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001164126.pdf